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054: 定期戦は若者の社会勉強だ(立命館大学ラグビー部ジェネラルマネジャー(GM)高見澤 篤/特別インタビュー2)

 現役時代から現在まで京都大との交流を育んできた高見澤篤GMに、今週末R3年11月6日開催の定期戦に向け、リーグ戦とは違う定期戦が持つ意味などを聞いた。



――定期戦の持つ意味とは?


 学生時代はあまりよくわからなかった。「やるからには勝たないと」ぐらいの意識だった。定期戦には歴史がある。立命館が定期戦を組んでいる大学のうち、同志社、京都大とは優勝カップが存在し、古い新聞社の名前が刻まれていたりする。ところが、あとから定期戦ができた関西学院、中央とはカップがない。

 AMFを含めて、20歳前後の若者が社交の場を経験する。さっきまでラックの中で踏まれていた相手選手と酒を飲む。それはとても社会勉強になる。フロントローだったので、トイメンはよく覚えている。たとえば同志社のトイメンで今でも飲みに行く人がいる。そういう経験は得がたいものだ。




――最近の定期戦をどうみる


 同志社、関学とはリーグ戦を兼ねている。試合後に会議室を借りてAMFを開いている。学生たちはAMFがあることで初めて「定期戦とはなんだろう」と自覚する。

 京都大とは、正直言って飛車角、場合によっては桂馬を抜いたりもしている。ただ、伸びてきた下級生にチャンスを与えたり、ずっと努力してきた選手がファーストジャージー着用を目標にするといったこともある。こうしたことが、チームの活性化にもつながっている。ファーストジャージーを着て、AMFで両校主将のあいさつを聞く。そうした経験は、選手の人生に大きな意味を持つと思う。

 私の息子も立命館大ラグビー部だったが、ファーストジャージーは着られなかった。100人も部員がいれば仕方のないことだが、学生にはそれを着る価値を追求してほしいと思っている。



――学生の意識はどうか


 ゲームキャプテン、バイスキャプテンに指名された選手は、絶対に負けるわけにはいかないという決意で試合に臨む。その姿勢でいいと思っている。

 確か12年に1度のような頻度で、定期戦に負けている。伝説のようになっている。私が監督1年目も負けた。1996年だったか。OB会長は怒って帰った。原谷グラウンドの食堂でのAMFで、立命館側は通夜のようだった。



――1989年はAリーグの立命館にCリーグだった京大が春の定期戦で勝ち、チームが一つになった


 その年に立命館はBリーグに転落したはずだ。



――2019年には定期戦を実況中継した


 新しい取り組みが技術的に可能だとわかり、京大の溝口正人監督に持ちかけたら「おもしろい、やりましょう」となった。機器のトラブルもあったが、テレビ中継に映らない選手の親御さんがユーチューブで見てくれることにもつながった。



――今後の定期戦に期待することは


 京都市内に住んでいるが、歩いてすぐのところに京大OBの方がおられる。両校のOBが数多く見てくれることに価値がある。中継したり、スタジアムを借りたりができず、大学のグラウンドであってもいい。そこに卒業生が気持ちを寄せることに意味がある。勝ち負けにこだわる世代もある。さらに上の年代になると、両校がいい試合をして、一生懸命なプレーをすることを評価してくれる。そういった人たちが層になって学生たちを応援してくれることに定期戦は価値がある。

 リーグ戦だと、入れ替え戦出場を免れるために蹴り出して試合を終わらせるプレーもあるだろう。でも、定期戦は違う。その試合の最後までベストを尽くすことに価値がある。

 以前、ラグビー部長を京大の飲み会に引っ張り込んだら、すっかり楽しんでいた。またそうした機会を持って交流を深めたい。


 

2019年の京大VS立命館大定期戦。この試合はネットで実況中継を行った。

同上



2021年9月25日、Zoomで収録

取材:奥村健一(H2/LO)、西尾仁志(H2/CTB)、麻植渉(H2/SO)、稲葉裕(H2/CTB)


▼高見澤篤さんのプロフィール

1958年(昭和33年)、埼玉県生まれ。埼玉県立熊谷高校、立命館大学。現在、同大学職員。ラグビー部GM。


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