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067: 国際交流2〜2010年ICL(Imperial College London)親善試合(S38 米良 章生)

 平成20年(2008年)、スコットランドの名門エジンバラ大学と対戦に続いて、2年後の平成22年、来日したICL(Imperial College London)と対戦した。京大側で対戦の実現に尽力した米良章生(昭和38年卒)の90周年誌への寄稿文と、試合後の監督、コーチおよびメンバーのコメントも併せて掲載する。


ICL戦


 エジンバラ大学と対戦の2年後、ICL(London大学管下のImperial College Londonのこと。以下ICL)との対戦話が舞い込んだ。きっかけは、エ大の団長として来日したReg Clark氏(London在住でOxford OB。神戸製鋼で何年かプレイしたことあり。息子のTom Clark(No.12)がOxfordにAcceptされなかったとかでエ大に進学、その縁で団長として来日したが、日頃はロンドンで仕事(繊維関係)の傍ら、ラグビー界のお世話をしているが、そこでICLから相談を受け、是非行け、ということになり ICLの来日となったもの。)ICLはインターネットで最も安い京都のホテル(というと聞こえはいいが、ベッドを3段に敷き詰めた部屋で学生旅行者などがよく泊まる簡易宿泊所)を予約してきたので、宿泊所を御世話する手間は省けたが、時あたかもサッカーのワールドカップの真っ最中。連夜 スポーツバーに繰り出すのは止む無いとしてこちらはエ大の時のこともあって、帰りの手配まで気を使ったが、無事に終ってホッとした次第。

試合のパンフレットと京大総長メッセージ
試合当日のメンバー表(両チーム選手一覧)
ICLの来日時の案内パンフレット

湯谷監督談:「参加したOB選手のレベルが高く、現役の力を上手く引き出してくれて、杉本君(No.11 左Wing)の3トライなど若手の活躍を生むことができました。それぞれの部員には自信になったと思います。芝生のグランドも素晴らしく、久しぶりに試合にでる若手現役にとっては、時間が短く感じられる楽しい試合でした。」


 ICLの団長格の学生に「イギリスの学生チームは定期的に海外遠征をするようだが、これはグランドツアーの伝統を受け継いだものか?」と質問したところ、答えは「そうだ」とのこと。「グランドツアー」というのは、ご存じの方も多いと思うが、18世紀以降、若い英国貴族間で教養を身に付ける為、長期のヨーロッパ旅行が流行ったが(最重要目的地はイタリア)それがきっかけで、貴族階級のみならず中流・上流階級もイタリアだけでなく、北欧、南欧を旅行するようになったという。最近の英国学生チームは香港、東南アジアまで足を伸ばしている。

 昨今の日本ラグビー界では、高校の強豪チームがどんどん豪州、NZに出かけているし、協会傘下の各種エイジグループの海外遠征も盛んだ。トップリーグの諸チームも、プロ化に伴い、海外強豪国からの選手導入が盛んで、ラグビー界は益々グローバル化しているが、その谷間にあるのが大学チームと言える。一部の大学がNZや南太平洋諸国から選手を入れているが、海外遠征となると、殆んど皆無といってもいいのではないか。勿論、大学ラグビーの在り方、学業との関係、費用の問題等、検討すべき問題は多々あるにせよ、あまりにも縮こまってはいないか。京都大学も海外のきちんとした大学と、例えば2年に一度のHome & Awayの試合を組めれば、在学中一度は海外で、一度はHomeで迎え撃つことになる訳だが、この程度ならスケジュールの調整も可能と考える。コストも、行き先にもよるが、格段に安くなっている。きちんと準備して対応すれば、強化策の一環としても役立つだろうし、リクルーティングへの効果も大、且つ何よりも交流を通じてラグビーをやることの楽しさを体得できるのでは、と愚考する次第。90周年、100周年と歴史を重ねるに連れて、存在感が益々高まるような京都大学ラグビー部であって欲しい、と切望しています。


S38年卒・S37年度主将 米良 章生(京大ラグビー部九十年誌より再編集)




2010年6月27日ICL戦報告(デジタルニュースより)


A戦


〈試合結果〉

京都大学A 19 - 61 ICL

2010年6月27日 @JR西日本神戸総合グラウンド  15:10 Kick-off

前半  7 - 21

後半 12 - 40


▼2010年度・井口組「ICL親善試合 A戦」の試合映像はこちら



【A戦コメント】


湯谷 博 監督

 スクラムとモールがひどく押され、接点でもマイボールをたびたび敵に拾われた結果、相手に圧倒的にボールを支配されるゲーム展開となりました。特に、地面のボールへの反応の速さ、正確なハンドリング、長旅の疲れを見せない走力、的確にスペースを捜してユニットで攻撃を仕掛ける能力など、いずれも京大やBリーグのチームにはないもので、今後のチーム作りにぜひ生かして欲しいところです。

 試合後の懇親会では、MVPへのプレゼントなどもあり、両チームの和やかな交歓が遅くまで続き、部員一同ラグビー本来の醍醐味を満喫してくれたことと思います。お世話になったOBの皆様には厚くお礼申し上げます。


下平 憲義 コーチ

 現役にとって、国際試合をするという素晴らしい経験が出来たと思います。ご尽力を頂きましたOBの皆様に厚く御礼申し上げます。

 春シーズンの締めくくりとして、自分達の力がどれくらいかが、はっきりと見えた試合でした。DFでは大きな、懐の深い外国人に対して、よくタックルには行っているのですが、倒しきれずに余裕を持ってボールをキープされ、全くターンオーバーできずに連続攻撃されて耐え切れなくなって突破される形でした。接点での突き抜ける激しさがさらに必要ですまた、ポイントが出来た時の内からのDFセットが遅く、後手後手の展開になりました。早いアライブを意識して、大きな相手には、運動量で上回り人数で勝たないと話になりません。

 ATでは、マイボールをキープしての連続攻撃が全く出来ませんでした。外国人特有の上手さはあるにしても、反省点は多いです。接点でのボディコントロール、ダウンボールのまずさ、2.3人目の寄りの遅さが外国人相手で露呈しました。手の長い外国人に立ってプレーされ、持ち込んだボールをターンオーバーされ、もう少し出来ると思っていましたが、まだまだ甘かったです。この貴重な経験を生かして、秋に向けてさらに精進して、頑張りましょう。


井口 達也 (4回生 六甲) LO ゲームキャプテン

 こういった国際交流試合をすることができ、米良さんはじめOBの皆様の尽力に感謝します。まともに言葉の通じない人とのコミュニケーションとしてのラグビーの素晴らしさを強く感じることができました。

 春シーズンは、私の力不足で結局一勝もすることなく終わりました。これから1ヶ月間のオフがあります。しかし、私をはじめとする4回生はスイッチを切ることなく、勝つために何が必要か、を考え続けなければなりません。その思考こそが、夏からのシーズンを大きく左右し、この状況を打破すると信じ、あとわずか半年ですが全力で突っ走っていきます。


森 春樹 (4回生 長崎東) No.8フォワードキャプテン

 2年前のエジンバラ大学戦以来の国際親善試合というこ  とで、このICL戦はすごく楽しみにしていました。ただ試合の方はタックルしてもただでは倒れない強さ、徹底したオフロードパスでのテンポの速さに次第についていけなくなり、崩されてしまいました。京大もテンポのいい攻撃を目指しています。しかし、今回は敵にボールを絡まれたりして、テンポが遅れたり、ターンオーバーされたりということが何回もありました。FWは2人目のサポートの早さをもっと意識していきたいと思います。




B戦


〈試合結果〉

2010年6月27日 @JR西日本神戸総合グラウンド  16:55 Kick-off

京都大学B 34 ― 19 ICL

前半 12 - 12 

後半 22 - 7


▼2010年度・井口組「ICL親善試合 B戦」の試合映像はこちら



【B戦コメント】


湯谷 博 監督

 参加したOB選手のレベルが高く、現役の力を上手く引き出してくれて、杉本君の3トライなど若手の活躍を生むことができました。それぞれの部員には自信になったと思います。芝生のグラウンドも素晴らしく、久し振りに試合に出る若手現役にとっては、時間が短く感じられる楽しい試合でした。


下平 憲義 コーチ

 OBとBチームの合同チームでしたが、OBに上手く引っ張ってもらい、現役の良いところが引き出され、見事に勝つことできました。なかなか外国人相手に勝ちきることは簡単ではないので、全員の気持ちが一つになった結果だと思います。

 Bチームのメンバーのレベルがどんどんアップして、Aとの差がなくなってきています。下からの押し上げが最終的には、チーム全体のレベルアップに繋がります。さらに、頑張りましょう。


岡本 大和 (4回生 岡山城東) FB ゲームキャプテン

 ご声援くださったみなさん、試合に出てくださったOBのみなさん、ありがとうございました。

 前半、ICLのジャッカルが上手なためターンオーバーをたくさんされ、まともにアタックできませんでした。後半からは接点でボールをすぐ出すことを徹底させ、キックによるエリアマネジメントも加わり、狙い通り相手は走れなくなり、テンポに追いつけなくなり、京大ペースになって最後には接点も勝りトライも取れました。

 個人としては視野を広く持ててパスやキックでチームに貢献できました。ICLのプレーはラグビーがハンドリングゲームであることを証明するかのようなプレーでとても参考になりました。最高に楽しい試合、交流会、ありがとうございました



試合後のAMF(アフターマッチ・ファンクション)の様子


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